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受賞企業メッセージ

「WarpHub InterSat」は、自由空間における光通信を活用した、人工衛星向けの高速データ伝送ネットワークです。現在、地球との通信はすべて電波で行われております。しかし、宇宙開発が進展するにつれて、電波での通信は限界を迎えつつあります。

電波での従来型の通信では高容量のデータを送ることができません。地球を観測する衛星に搭載するセンサーの技術は高まり、高解像度のデータを取得することができるようになってきていますが、地上に送る線が細く、多くの活用余地を残したままになっています。また、必要な時にデータを人工衛星から取得するということもできません。気象予報や災害検知などで使われる衛星データも、災害発生直後にすぐに取得できれば迅速な災害支援につながることが容易に想像できますが、それができません。

私たちのネットワークではこの通信の細さと遅さを解決します。何かが起きたときに、必要な衛星データをすぐに取得できるようにし、防災、減災、一次産業、物流、温室効果ガスの監視など、様々な社会課題の解決に貢献します。このようにして、世界がより安全かつ安心に暮らせる場所へと変えていきます。

代表取締役CEO 東 宏充

創業のきっかけを教えてください

筑波大学の学生有志による衛星プロジェクト「結」にて超小型衛星を2機開発し、軌道投入できたことがきっかけとなりました。同プロジェクトを導いていた亀田准教授と、学生リーダーだった永田は、このプロジェクトを通じて得た知見を活かして、より宇宙を民間でも活用できないかどうか考えていたところ、アントレプレナーで筑波大学OBの常間地が後押しをしてくれたことから創業へと至りました。

御社のチームの強みはどこですか

日本で積み重ねてきた知見や経験と、グローバルで多様な領域の知見をブレンドしていることが強みです。日本の高度な「光」や「衛星開発」の技術をコアに置きつつ、潮流の早いグローバルマーケットにもいち早く対応するための情報収集能力とアジリティをもった開発を行えることが強みです。

どういうチームづくりを心がけていますか

様々なバックグラウンドを持つ、グローバルな知見や経験を融合できるようなチーム作りを心がけています。基本的にミーティングでは誰もが意思疎通をとれるように英語で執り行い、全員が9つの行動指針に沿って動くことを徹底しています。目的を揃え、事実の積み上げを重視しつつも大胆な発想をも取り入れ、チャンスを逃さぬように徹底的に動いていく。

それらの前提として、それぞれのチームメンバーがみなを尊重し、アイデアの源泉を欠かさぬよう新たな体験を奨励し、数々の難局に対しても挫けぬように自分と家族を大切にするようにしていく。これらを簡単なフレーズに落とし込み、行動指針(Compass of Behavior)として掲げています。

御社で一番大切にしている価値観を教えてください

スタートアップにて動きがダイナミックな宇宙業界に挑んでいくにあたって、様々な知見と価値観を融合させて次世代を切り拓くために、ワープスペースでは「Wit, Agility, and Generousity」を重要な指針として掲げています。これはスタートアップが直面する様々な難局に対して、頭脳を駆使しつつ、アジャイルに行動して先手を打ち、そして、その結果がどうなろうと挫けない寛容性と、多様性を尊重することによってその力を最大限発揮していくことを心がけ、一枚岩となって次代を切り拓くための重要な価値観としています。

10年後、関連市場はどうなっていると思いますか

現在でも年率10%で宇宙業界全体も、私たちが主要ターゲットと置く地球観測市場も成長を続けています。地球観測市場は2031年には1兆円市場になるという調査もあります。その中で現時点で既存通信方式は限界を迎えていることや、アメリカの政府を中心に私たちの手掛ける光による新通信方式に対する巨額の投資を鑑みて、光通信は衛星通信の主要な選択肢になっていると思います。

また、光通信は電波の性能をはるかに超える、即応性やデータレートをもたらすことが可能なため、新たなアプリケーションが多数創造され、想定される以上に市場が成長している可能性があると思います。

10年後、御社はどうなっていると思いますか

私たちと同様のフォーカスを持っている企業は世界を見ても片手で数えられる程度しか現時点で存在しておらず、参入障壁も技術的に非常に高いことから、当該市場で非常に強いプレゼンスをもちつつ、その技術は地上の通信を補完していくことや、月や火星への国際的な宇宙開発にも応用が可能なことから、地上から深宇宙までを幅広くつないでいく通信ハブとして活用されるようになると思います。

Overview
事業概要

企業名株式会社ワープスペース
代表者名東 宏充
設立年月2016年8月3日
URL https://warpspace.jp/
事業概要ワープスペースは民間として世界で初となる、人工衛星向けの光即応通信ネットワークサービス「WarpHub InterSat」の開発を進めています。中継衛星3基が光通信を利用し他の衛星からデータを受け取り、地上局に即応的かつ高容量で転送する仕組みです。防災・減災、物流円滑化、環境保全等に貢献していきます。