Message受賞企業メッセージ
毎年1兆個といわれるセンサーが利用されるIoT社会で、データ通信はワイヤレス化できても、電力は電池交換や配線が必要な場合が多い。比較的消費電力が大きい表示器やセンサーなど頻繁に電池交換あるいは充電が必要なデバイスも多い。これらの数が多い場合には配線、電池交換や充電の手間、コストが課題となります。また、工作機械やロボットの可動部等に取り付けるセンサーやアクチュエータは配線ができなかったり、加工油などの為電池交換や充電が困難だったりといった課題があります。
当社は便利で使いやすいワイヤレス電力伝送システムを開発することでこのような電源供給問題へのソリューションを提供し、Industry 4.0、スマートシティ実現を加速します。さらに、オフィスや外出先でのノートパソコンやスマートフォンの充電器持参とコンセントへの配線といった面倒をなくします。これにより無駄のない、効率的な社会の構築に貢献していきたいと思います。
代表取締役 古川 実
創業のきっかけを教えてください
前職でワイヤレス電力伝送装置の商品開発を行い、受電装置は世界最高レベルの効率で注目されました。しかし、当時の制度で送電できるパワーは非常に小さく、市場ニーズとマッチしなかったため、同社での事業化はとりやめとなりました。それなら自分で事業を立ち上げようと退職し、埼玉大学大学院で技術獲得を目指して研究を再開、2019年頃からワイヤレス電力伝送実用化を目指す業界団体の活動が活発化、制度化の見込みが出てきました。
それをチャンスと捉え、前職での共同研究先の篠原京都大学教授を科学顧問に迎え、京都大学イノベーションキャピタル株式会社のハンズオン出資を得て、株式会社Space Power Technologiesを起業しました。
御社のチームの強みはどこですか
無線通信機器メーカの新規事業でワイヤレス給電にいち早く取り組み、その後国内の規格化に携わるなど、ワイヤレス給電のフロンティアを開拓してきました。
その未来のビジョンを現実のものとすべく、各方面で様々な経験・技術の研鑽をしてきた人たちが、さまざまな関与の形態で、一緒に目的に向かって作業を進めていっていますが、これはこれまでの典型的な企業形態とは全く異なるものと思います。また会社のみならず、京都大学をはじめ株主企業他の外部機関とも轍を一にして共同して研究・開発を進めていっており、まさにスタートアップならではの取り組み形態と考えております。
どういうチームづくりを心がけていますか
先端技術開発を継続して行い、その技術を顧客ニーズにマッチし満足度の高い製品に作りこむ、それを現実のビジネスに織り込んでいく、感度が高くスピードのあるチームを目指しています。無線技術、回路技術、商品企画、品質管理などそれぞれのスペシャリストがフラットに話し合い連携・共創するチームです。また常識にとらわれず、どんな突飛な考え方も、一旦は耳を傾けるように心がけています。
御社で一番大切にしている価値観を教えてください
配線、電池、置いて充電といった不自由から人々を解放し真のワイヤレス社会を実現することをミッションとし、電力供給に革命を起こします。ただ、我々の最終的な目的は、ワイヤレス給電により社会をより住みやすいものにするためであり、これまで電源供給ができなかったが故に強いられていた無駄な作業、危険な個所での作業等を、IoT機器を活用することで減らすことで、より効率の高い社会を実現することです。
10年後、関連市場はどうなっていると思いますか
ワイヤレス充電器のマーケットは、2029年にはUSD19Bnを超えるとの試算もあり非常に大きなマーケットになると期待されている。IoT機器、モバイルデバイスはマイクロ波ワイヤレス給電が当たり前になり、移動して使う家電や各種モビリティもそれぞれの特性、ニーズに合った方式のワイヤレス給電が便利に使われており、関連市場は全世界に及び、マイクロ波方式に限っても数兆円を超える大きなものとなると考えています。
10年後、御社はどうなっていると思いますか
マイクロ波方式のワイヤレス給電システムの世界トッププロバイダーとなり、産業向け及びコンシューマ向けに様々なパートナーと組んで組み込み製品を世界中で提供していきます。コンシューマー向けではスマートフォンへのワイヤレス給電を実現し、ワイヤレスでの給電を活用したインフラ点検や電源供給ビジネスに係るサービスビジネスにも取り組みます。それにより、より人々が便利で安全な生活が営むことができる社会の構築に貢献していきたいと考えております。
Overview事業概要
企業名 | 株式会社Space Power Technologies |
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代表者名 | 古川 実 |
設立年月 | 2019年5月9日 |
URL | https://spacepowertech.com/ |
事業概要 | 数m離れたデバイスに数Wクラスの電力を届けるワイヤレス電力伝送技術とそのシステムを開発しています。これにより通信に加え、電力もワイヤレスで送ることができるようになり、遂に「真のワイヤレス化」が実現します。現法制度対応のデジタルピッキング表示システム向け、IoTセンサ向けに加え、数年先のスマートフォン充電向けも開発中です。JAXAとともに月面ローバーへのワイヤレス給電にも取り組んでいます。 |