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次世代のカーボンニュートラルエネルギー源として注目されているフュージョンエネルギーですが、その実現にベリリウム(Be)という金属資源がボトルネックになっていることは知られていません。

ベリリウムは非常に高価、かつ生産量が世界で年間300トンと限られていることから、原型炉1基あたり必要量であるベリリウム350トン以上をまかなうことができません。

この問題を解決するため、マイクロ波加熱とアルカリ溶融技術を組み合わせた低温精製技術を発明し、従来2000℃の高温処理が必要だったプロセスを300℃の常圧で実現可能にしました。

この技術を用いて、自社でパイロットプラントの建設を進めており、ベリリウムの安定供給を実現させることを通じて、フュージョンエネルギーの社会実装に貢献していきたいと考えています。

株式会社MiRESSO
代表取締役 CEO 中道 勝

Interview

創業のきっかけを教えてください

長年研究機関でフュージョン材料の研究、特にベリリウムの研究開発に従事してきました。ベリリウムはその優れた特性を有しているものの、大量調達において大きな問題がありました。その課題の一つである、高温精製を低温化することで、この調達の問題を解決しようと考えました。

また、私個人の想いとして、研究者としての実績だけではなく、次世代に何か残したいという考えが強くあったため、フュージョンエネルギーの早期実現に貢献するべく、ベリリウムの安定供給と価格適正化を目指し、2023年5月に株式会社MiRESSOを立ち上げるに至りました。

御社のサービスや技術の独自性や優位性はどこですか

ベリリウムは核融合向けに中性子増倍材として優れているだけでなく、軽量な金属であることも特徴です。アルミより軽くて、ステンレス並みの強度を有していることから、構造材として優れており、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡など航空宇宙分野でも利用されております。

高温精製が必要なのがボトルネックでしたが、弊社の低温精製技術は塩基とマイクロ波加熱を組み合わせることで、低温かつ低コストでの精製を実現しました。

御社のチームの強みを教えてください

技術陣だけでなく、総合商社、弁護士、VCなど様々な業界から集まっているのが強みだと思います。お互いにリスペクトし合いながら。強みを活かして事業運営に取り組んでおります。

どういうチームづくりを心がけていますか

「創造力」を大事にしています。

いままでにない技術を社会実装し、新たなサプライチェーンを構築し、明るい未来を次世代につなぐことをチームみんなで目指しています。皆さんの創造力無くしては、成しえない事業だと考え、「創造力」を引き出せるようなチームづくりを心がけています。

御社で大切にしている価値観を教えてください

Valuesとして「Challenge」「Enjoy」「Respect」「Safety」の4つを定めております。

困難に挑戦すること、仕事を楽しむこと、互いを尊重すること、安全を忘れないこと、この4つを忘れずに大事な価値観として守っていきたいと考えています。

10年後、関連マーケットはどうなっていると思いますか。その中で御社の目指すところは

10年後は、フュージョンエネルギー実現を目指している多くのフュージョンスタートアップにおいて実験施設やプラント建設が開始されており、ベリリウムの需要も高まっていると考えています。その時に、安定的にかつ適正価格で、高品質なベリリウムを提供できるように、MiRESSOも成長していると思います。また、既存の一般市場への供給もしっかり行っていけるようにしたいと思います。

Overview

企業名株式会社MiRESSO
代表者名代表取締役 CEO 中道 勝
設立年月2023 年5月16日
事業概要国立研究開発法人である量子科学技術研究開発機構(QST)で生まれた低温精製技術を基に、フュージョンエネルギー実現に不可欠な材料のベリリウムの製造販売と、様々な鉱物資源の精製及びリサイクルへの適用を図る技術プラットフォーム事業の2つの事業を展開しております。
URLhttps://miresso.co.jp/