格段に広がる「メガネの可能性」
―「JINSMEME」で取得した情報はスマートフォンアプリで可視化できるとのことでしたが、詳しくお聞かせください。
一戸 まだ開発中の段階ではありますが、「JINSMEME」の発売に合わせて、弊社からオフィシャルアプリを提供する予定です。
―オフィシャルアプリでは、どのようなことができるのでしょうか?
一戸 例えば、眠気を読み取ることができるとお伝えしましたが、その眠気にもレベルがあって、「眠気を察知してアラートを送信」することができます。また、自分の状態や、ウォーキングやランニング中の消費カロリー、速度、姿勢などの運動情報もわかるので、ライフログとしても利用できます。
―誰でも使用できるSDK(ソフトウェア開発キット)を公開されているそうですね。
一戸 SDKの公開は、多くの企業でやっている話だと思います。私たちのオフィシャルアプリだけではなくて、多くの開発者にアプリを作っていただければと考えています。
― SDKの内容をご紹介いただけますか。
一戸 「JINS MEME」の使い方として大 きく2つの想定があるのですが、SDKの中で は「スタンダードモード」と
― まず、スタンダードモードとは?
一戸 1分ごとの情報がまとめて送られてくるモードです。「1分間の眠気レベル」や「1分間の集中レベル」が解析されてきます。もちろん、「1分間のまばたきの回数」や「1分間の歩数」などのデータもわかります。
― リアルタイムモードは?
一戸 スタンダード通信よりも情報量は落ちるのですが、「視線が 動いた方向」や「まばたきをした瞬間」、「一歩歩いた瞬間」などがリアルタイムで送信されてきます。
― 開発者はこういったデータを利用して アプリを作っていくことができるのですね。
一戸 ただ、こういったSDKの公開はそれ ほど珍しいものではなく、多くの企業が行っています。もう一歩踏み込んで「JINS MEME」が取得したローデータを提供する「アカデミックパック」というプログラムも用意しています。
―ローデータの提供?
一戸 SDKが提供するのは「こんな目の動きを取得したので、まばたきと判定した」という「結果」です。「まばたきがあったこと」はわかりますが、「どんな目の動きがあったのか」はわかりません。この「どんな目の動きがあったのか」がローデータです。
―読み取った信号そのものが利用できるということなのですね。
一戸 私たちは「JINSMEME」がセンシングしたデータから「眠気」や「集中度」がわかるアルゴリズムを作りました。しかし、世の中には頭がいい方がたくさんいます。ローデータそのものを提供すれば、私たちの思いもつかなかったものがきっと生まれるはずです。「目の動き方」と「身体の動き方」をそういった人々に掘り下げてもらえば、メガネがますます世の中に役立てると思います。
―イベントも行なっているそうですね。
一戸 「ハッカソン」という、「2日間でアプリのプロトタイプ開発をその場で行うイベント」 を開催しました。また、ウェブ上で「JINSMEMEの活用アイディアを競うコンテストも行い、アイディアを募集しています。
― どのような応募があるのですか?
一戸 活用アイディアを競う「IDEAPITCHCONTEST」は全部で3回あるのですが、今年の1月に実施した第1ラウンドでは、ビジネスに役立つアプリが多かったですね。
―具体的にご紹介いただけますか?
一戸 眼電位とGPSを連携させ「どこで、どのくらい集中できていたかを記録するアプリ」が受賞作品のひとつです。受験生やノマドワーカーなど「外で集中できる場所を探している人」に活用いただけると思います。
―なぜこのようなイベントを?
一戸 「JINSMEME」の使い方の可能性を、様々な優秀な方に広げていただきたいからです。「JINSMEME」の普及にはアプリが欠かせません。おもしろいアプリが世にでてくれば、きっと「JINSMEME」の魅力も広まってくる。広く使われるようになればデータも蓄積されて、さらに性能を向上することができるはずです。「東京デザイナーズウィーク」や「ミラノ・サローネ」に出品しているのも、クリエイターの方「JINSMEME」の魅力を体験して欲しいからなんです。
―最後に「JINSMEME」をどのような人に使って欲しいか教えてください。
一戸 みんなに「JINSMEME」を掛けて欲しいと思っています。新しいガジェットですから、すぐに興味を示してくれる人も、なかなか受け入れづらい人もいると思うのですが、この「JINSMEME」の持っている可能性は計り知れないものがあると思うんです。
私たちが提唱する「眠気」や「集中度」はスタートにすぎません。普通に働いているサラリーマン、スポーツ選手、歌手、芸術家、本を読んでいる人、主婦、子ども、おじいちゃん。どんな人のニーズにも応えられる可能性がまだまだあると思いますので、最終的に、みんなに「JINSMEME」を掛けて欲しいですね。
JINS MEME(11月発売スタート)
https://jins-meme.com/ja/