近年、「カスタマーサクセス」という概念が、主にBtoBビジネスで急速に取り入れられている。国産マーケティングオートメーション(以下、MA)ツール「SATORI」を提供するSATORI株式会社もカスタマーサクセスに注力する企業だ。その狙いはどこにあるのだろうか。今号ではカスタマーサクセスをテーマとした座談会を開催。SATORIの代表である植山浩介氏、「SATORI」の導入企業である株式会社リンクの小川泰範氏、株式会社ギブリーの吉田将輝氏に話を伺った。[sponsored]
すべての売上を担うカスタマーサクセスって?
― まず植山さん、カスタマーサクセスについて教えてください。
植山 カスタマーサクセスとは、顧客を成功に導くというビジョンであり、またその役割を担う職種を指す言葉です。「SATORI」というMAツールを提供している私たちの例では、お客様が「SATORI」を使って成果を上げる支援をすることがカスタマーサクセスに当たります。この1年くらいで国内でもホットなテーマになっていますね。
― なぜ注目されているのですか?
植山 BtoCでもBtoBでも、サブスクリプション型のビジネスモデルが急速に浸透しているからだと思います。サブスクリプション型はいかに顧客との付き合いを継続できるかが重要なモデルです。「顧客と契約するまで」よりも「契約してから解約するまで」の期間の方が圧倒的に長いわけですよね。よく「結婚」に例えられますが、契約したからといって顧客を放置していたら「離婚」、すなわち解約されてしまいます。それを防ぐためにカスタマーサクセスが必要なんです。
― SATORIでもカスタマーサクセスに注力し始めたのはなぜですか?
植山 もちろんビジネスとしての意味もありますが、お客様のマーケティング活動を助けることは私たちのビジョンでもあるからです。「SATORI」の導入後、「成果があがっているお客様」がいれば、「成果があがらないお客様」もいると感じていました。ただ、これまでは「成果のあがらないお客様」を悔しくも静観していることしかできませんでした。そこで、導入企業が100社を超えた段階でカスタマーサクセスを本格的にスタートすることに決めました。
― どのようにカスタマーサクセスに取り組んでいるのですか?
植山 今年の1月からビジョンと組織を変更し、採用も強化しました。1名だったチームも7名になっています。今は「カスタマーサクセスが全売上をもつ」という考えで運営していますね。
― どういうことでしょうか?
植山 サブスクリプション型ビジネスは、文字通り契約期間中、顧客が継続的にお金を払い続けますよね。そして、契約期間中の顧客担当はカスタマーサクセスです。つまり顧客はカスタマーサクセスにお金を払っているといっても過言ではないんです。
― 具体的なお客様への取り組みを教えてください。
植山 私たちがカスタマーサクセスとして行っている施策は主に3つあります。まず、お客様を訪問するフィールドサポート、次にオンラインでのサポート、そしてユーザー会の開催です。今年の7月に第1回ユーザー会を開催しました。SATORIを設立した当初からユーザー会を構想していたのですが、ようやく形にできましたね。
SATORI株式会社 代表取締役。2003年、東京大学大学院修士課程終了後、トライアックス株式会社を設立。トライアックスより事業譲渡し、2015年にSATORIを創業。マリンスポーツ好き。
リードの獲得が10倍にアップ!
― 本日は、第1回「SATORI」ユーザー会にも参加されたリンクの小川さん、ギブリーの吉田さんにもご同席いただいています。まず、小川さんに「SATORI」を導入されたきっかけを伺います。
小川 私たちはBtoB領域を中心に4つの事業を展開しています。「SATORI」を導入したのは「リンクベアメタルクラウド」というサーバホスティングサービスですね。「リンクベアメタルクラウド」は、物理サーバの安定した性能と仮想サーバのスピードや手軽さを併せ持っているサービスです。このサービスはとてもエッジの効いたサービスではありますが、クラウドサーバの市場は「AWS」が圧倒的一強という状況もあり、多くのマーケティング課題を抱えていました。
― どのような課題ですか?
小川 圧倒的なマーケットリーダーがいること、エッジは効いているものの後発のサービスであることなどからサービスの認知が取りづらく、なかなかコンバージョンに繋がらない点です。そんな時にSATORIさんから提案をもらいました。そして、「匿名ユーザーを可視化できる」という「SATORI」の特長が、自分たちの課題解決に繋がると感じて2016年7月に導入をしました。
― 「SATORI」導入後に実施した施策をご紹介いただけますか。
小川 まず、導線を見直しました。ユーザーの行動を分析した結果を元にサイトをリニューアルし、課題であったユーザーの導線を改善したんです。さらにブログを展開し、そこからの流入を増やす取り組みを始めました。
― 成果は出ているのでしょうか?
小川 アクセスはリニューアル前の1.5倍まで増え、コンバージョンは今月に限れば、リニューアル前に比べて10倍まで増えました。
植山 ブログで展開するコンテンツマーケティングが効いているんでしょうか?
小川 そうですね。今までは指名検索での流入が8割ほどでした。3ヶ月くらい前から、指名検索以外の流入が増えているんです。また、狙った導線上に設置した「SATORI」のポップアップ機能からもコンバージョンが取れ始めていますね。
― その他はどのように「SATORI」を活用しているのかご紹介ください。
小川 例えば、特徴的なコンバージョンをしたユーザーの動線を分析してみると、ウェブサイトのどこに欠陥があるかがわかるんです。それから、コンテンツを追加したり、導線を追加したり、修正をかけたりしています。情報収集してリードへどうつながるのかを分析できるのはかなり効果的だと感じていますね。
株式会社リンク マーケティング部 マネージャー。SIerでプログラマーとして勤務した後、広告会社でインターネット広告を12年担当。2015年にリンクへ参画。キャンプ好き。
3ヶ月で14倍のリード獲得!
― 続いて吉田さんに伺います。ギブリーはどのような事業を展開していますか?
吉田 ギブリーでは主に3つの事業を展開しているのですが、「SATORI」を導入したのはその中のひとつ、「エンジニアに特化したHRTech事業」です。私たちはエンジニアのプログラミング能力を可視化する「codecheck」というプロダクトを提供しています。この「codecheck」は、エンジニアを採用する人事の責任者や、開発責任者に向けたサービスです。エンジニアの実務スキルを可視化することで、採用や評価を支援するわけですね。「SATORI」は、この「codecheck」を売るために今年の3月末に導入しました。
― 「SATORI」導入前の状況を教えてください。
吉田 「codecheck」の営業を本格化したのは今年の1月からでした。「codecheck」を利用するのは、エンジニアのスクリーニングが必要な企業、つまり大手企業の採用責任者や開発責任者です。当初、アウトバウンドで営業を行っていたのですがうまくアポが取れませんでした。そこで、インバウンド型に切り替えることにしたんです。
― インバウンド型に切り替えてからはどのような施策を実践しましたか?
吉田 LPを作り、広告を運用していました。しかし、そもそも市場に「codecheck」と同じプロダクトがありません。ですから、ナーチャリングをしないと受注につながらないと改めて強く意識したんです。そこで、ナーチャリング型の施策に切り替えを行いまして、「SATORI」を導入し、サービスサイトを立ち上げました。
― 「SATORI」導入後の成果は?
吉田 リード獲得件数は、導入後3ヶ月で14倍になりました。導入から3ヶ月くらいで受注も数件達成しています。現在も月数件は計画通りインバウンドから受注できていますね。
株式会社ギブリー 執行役員 経営企画部長兼マーケティング部長。1989年生まれ。株式会社ドゥ・ハウスでの勤務や自身での起業の経験を経て、2016年よりギブリーに参画。
ウェブマーケ未経験でも成果を出せたワケ
― 小川さんも、吉田さんも非常に高い成果を残されていますが、そもそもウェブマーケティングの知見をお持ちだったのですか?
吉田 戦略立案など上流工程を行う、どちらかといえばレガシーなマーケティングに携わっていました。でも、実はウェブマーケティングはほとんど経験がなかったんです。BtoBのマーケティングもギブリーに入社してから初めて担当しています。リスティング広告の運用も、ウェブサイトの作り方も知見が少なかったですね。
― そういった状態で「SATORI」の運用は大変ではありませんでしたか?
吉田 導入したばかりの頃は「SATORI」のセミナーに参加しました。例えば「MAが使いやすいサイトマップ」をセミナーで学ぶことができます。サポートも非常に充実しているんです。まず、非対面でもすぐに実践できて効果がでるtipsがたくさん用意されています。動画がアーカイブされているので、それを活用すれば効果の出る施策につながります。オンラインのサポートもすぐに対応してくれます。無茶な問い合わせも数時間で解決してもらえたのでとても助かりました。
― 小川さんはいかがですか?
小川 私はプログラマーとして1年勤務した後、広告会社でインターネット広告に12年間携わっていました。でも、広告には限界があると感じるようになったんです。それは、広告で解決できる企業のマーケティング課題は一部しかないからです。そこで、事業の本質をどのように作っていけばいいのかをもっと知りたいと思い、マーケティングに関わるようになりました。
― 現在はどのような業務を担当されているのですか?
小川 「リンクベアメタルクラウド」の主担当として、マーケティング戦略の立案から、バナーの作成、ライティング、広告運用、ウェブサイトの改善、「SATORI」の運用までの全てを、ほぼ1人で行っています。
― 「SATORI」導入はスムーズにいきましたか?
小川 当初は様々な困難がありました。例えば、「Salesforce」からのデータ移行はフォーマットが異なるためなかなか上手くいきませんでした。でも、担当の方が導入に向けて根気よく丁寧にフォローしてくださったので、非常にスピーディーに運用を開始できました。他にもフォームの設置やポップアップの作り方など、相談すると素早い対応をいただけてとても助かりましたね。
ユーザー会には「仲間」が集う?
― ユーザー会に参加した感想をお聞かせください。
小川 ユーザー会での吉田さんのお話を聞いて、自分の発想では思いつかなかった運用方法を知ることもできましたし、本当に多くの発見がありました。ユーザー会の参加者は「自分と同じような課題を、同じツールで解決しようとする仲間」なんです。共通課題をもった人が集まるので、意識が近くとてもいい会でしたね。私たちも参考にさせていただき、自社でもユーザー会を開催しようと考えています。
吉田 持ち帰ったその日からすぐに実践できる細かいtipsを共有できたのがうれしかったですね。ユーザー会全体も、通常のイベントやセミナーより盛り上がったように感じました。それは、どの組織でもマーケターが少ないからではないでしょうか。課題を相談できる人が組織にいない人も多く、参加者の方々にとても共感しました。
植山 とてもうれしい言葉です。私たちは「あなたのマーケティング活動を一歩先へ」というミッションを掲げています。お客様の企業の売上だけではなく、担当者も支えたいんです。参加されたMA担当の方には、実践的なスキルと今後のモチベーションを持ち帰って欲しいですね。私たちとしてはあがった声をコンテンツや機能に反映していきたいと思います。
小川 実は、ユーザー会をあの場だけで終わらせたくないと思い、吉田さんと一緒に「SATORI USER GROUP」を立ち上げます。
― 「SATORI USER GROUP」?
小川 「SATORI」ユーザーのコミュニティですね。マーケティング担当者は、相談できる相手も少なく孤独です。ユーザー会で「SATORI」という共通項ができたので、それぞれが抱える課題を一緒に解決できる場にしたいと思います。
吉田 勉強会では小川さんの「SATORI」管理画面も公開される予定ですよ(笑)。
― 最後に植山さん、メッセージを。
植山 今、カスタマーサクセスに取り組む企業が増えています。それは顧客成果を追求することによるファン作りであり、それが企業ブランドや更なる顧客紹介に繋がるからです。ですから、私たちはカスタマーサクセスこそ、次のマーケティング戦略だと考えています。