2017年9月1日、六本木ヒルズハリウッドホールにて「TREASURE Network Showcase vol.2」が開催された。トレジャーデータ株式会社が主催した同イベントには、19社の「パートナー」がブースを出展。デジタルマーケティングに興味を持つ700人を越える人々が参加した。「パートナー」とは、同社が展開する「TREASURE CDP」と連携するベンダーを表す言葉だ。トレジャーデータが提供する「TREASURE CDP」は、デジタルマーケティングを推進する企業のためのクラウド型データマネジメントツール。「データ活用による顧客体験の向上」を狙う企業を支援するソリューションだ。本稿ではトレジャーデータの堀内健后氏にこのイベントについて話を伺った。[sponsored]
パートナー19社がピッチを実施!
― 「TREASURE Network Showcase vol.2」はどのようなイベントですか?
堀内 私たちトレジャーデータは2015年より、「トレジャーデータのプラットフォーム」と「各ベンダー提供ツール」の連携を進めてきました。それは、デジタルマーケティング領域においてユーザーの課題を効果的に解決するソリューションを提供するのが目的です。私たちはこの連携により、常に新しいテクノロジーを活用して、お客様へ価値を提供しています。
このイベントは日々開発、進化しているトレジャーデータの最新アップデートとパートナーのソリューションが一堂に会した場を提供し、お客様に新たな気づきを得てもらうことを目的に開催しました。
― イベントの特徴を教えてください。
堀内 導入事例の紹介は行わず、19社のパートナーによるソリューション紹介のスピーチをメインとしている点が、他のイベントとは異なると思います。パートナーはブースも出展していますので、個別に来場者へ対応もできますし、イベント後、実際の商談にもつながったと聞いています。
「デジマ」のトレンドココにあり!
― イベント名にはどのような想いが込められているのですか?
堀内 多くの企業がブースを出展するイベントは、「展示会」と呼ばれますよね。私たちが「ショーケース」と名付けたのは、デジタルマーケティングの最新のテクノロジー、最新のトレンドを紹介すべき使命が、私たちトレジャーデータが開催するこのイベントにはあると考えているからです。
― クラウド型のサービスを提供するトレジャーデータがこのようなイベントを開催するのはなぜですか?
堀内 やっぱり、「人と人」が大切なんです。私たちはデジタル領域で事業を展開していますが、「人と人がリアルに出会うこと」が「化学反応を引き起こす」と考えているんです。オフラインで開催するこのイベントには「お客様とパートナーを結びつける場所」、すなわち「プラットフォームとしての機能」を期待しています。パートナーとともに切り開く、トレジャーデータの今を感じていただきたいと思っています。
堀内 健后
ほりうち・けんご●トレジャーデータ株式会社 マーケティングディレクター。東京大学大学院修士課程修了。コンサルティングファームやネット証券会社などでの勤務を経て、2013年にトレジャーデータに参画。
― 「TREASURE Network Showcase」は今後も開催されるのですか?
堀内 第2回の開催となる今回は、1,000名を越える方の申し込み、700名以上の方のご参加をいただき、当日は大変な盛り上がりとなりました。実はトレジャーデータは2018年に東京で事業展開を開始して5周年を迎えます。そのタイミングでトレジャーデータの根幹であるデータベースの名前「PLAZMA(プラズマ)」を掲げた「TREASURE DATA “PLAZMA”」というイベントを2月に丸の内で開催します。
― どのようなイベントなのですか?
堀内 「TREASURE DATA “PLAZMA”」の期間中には、「TREASURE Network Showcase」だけでなく、コンソーシアム的に企業課題、さらには社会課題を共有し長期的に解決していくためのソリューションを考えるプログラムを設けています。トレジャーデータとパートナー、そして国内250社以上の顧客によるエコシステムの総力を結集し、イベントを通じて東京から「社会をデジタルアップデートしていきたい」と考えています。
― おもしろいですね! なぜそのような取り組みを企画することになったのでしょうか?
堀内 トレジャーデータはサービスの特徴として企業同士のハブになり、その結果、企業同士の繋がりがエコシステムとなるおもしろいポジションにいます。ですので、私たちをはじめ、パートナーが一堂に会して、社会課題とテクノロジーのギャップを埋めることができるのではないかと思っているのです。マーケター・新規事業担当の方だけでなく、デジタルに携わる全てのイノベーターに参加していただきたいですね。
匿名ユーザーを可視化! 2,400社が支持しています。
西岡 彩織(にしおか さおり)
株式会社PLAN-B Juicer事業部プロデューサー。1992年生まれ。大阪大学卒。2015年に新卒でPLAN-Bへ入社。Juicer事業部にて、機能企画・マーケティング・UI/UX領域を担当。
「コンバージョン見込み」や「興味・関心」わかります。
― 「TREASURE Network Showcase vol.2」では来場者へのアンケートを実施しました。ここからは、「もっと詳しく聞きたい企業、ソリューション」という項目でトップ3の票を集めたパートナー企業3社にお話を伺います。1社目は株式会社PLAN-Bの西岡さんです。まずは、ソリューションを紹介していただけますか。
西岡 私たちは「Juicer」という無料で利用できるユーザー分析DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を提供しています。自社サイトには訪問してくれているものの、顧客化できていない匿名のユーザーを理解するために開発しているサービスです。導入してくださっている企業は2,400社を超えています。
― どのようにユーザーを理解する?
西岡 私たちは通常であればデータベンダーから購入しなければならないような属性情報、SNS・口コミデータ、2万以上ものサイトのアクセスログ、企業情報データなどを蓄積しています。それらのデータを活用することで、今までわからなかった匿名ユーザーの「属性」「興味・関心」「コンバージョン見込み」などを可視化します。
― 例えばコンバージョンの見込みなどはどのようにわかるのですか?
西岡 自社サイトを訪れたユーザーをスコアリングするんです。サイトをどのくらい深く、多く閲覧しているのか、前回から今回の訪問頻度はどうか、コンバージョンしたユーザーとの類似性はあるかなどから判断しています。
A/Bテストで164%改善!
― 他にはどのようなことができますか?
西岡 私たちの収集しているデータからの分析だけではなく、実際の施策にもご利用いただけます。例えば、A/Bテストがありますね。私たちが行っているA/Bテストでは平均改善率164%の成果を達成しています。無料の機能であればポップアップの表示もできますし、他のDMPやCRMツールと連携して、広告配信やメール配信まで一気通貫で施策を打っていただけます。
― 最後に今後の展望を教えてください。
西岡 私たちは先ほどお話しした様々なデータを貯める先として「TREASURE CDP」を利用しています。今後は私たちが保有しているデータをセグメントして、有益なデータを持っている企業同士でエクスチェンジしたり、多くの広告主さんとデータ取引ができたりするのではないかと考えています。そういった場合にプラットフォームとして「TREASURE CDP」を介すれば、きっとスムーズなやりとりができると思います。
スマホ2,000万台の位置情報がビジネスを支援します。
山田 梢(やまだ こずえ)
株式会社ブログウォッチャー。上智大学卒。2006年、新卒で株式会社リクルートへ入社。2016年にブログウォッチャーへ参加し、位置情報データの活用に向けた商品開発・セールスを担当。
位置情報を使った3つのソリューション
― 続いて2社目のパートナー企業、株式会社ブログウォッチャーの山田さんにお話を伺います。プロダクトの紹介をお願いします。
山田 私たちは位置情報を使ったサービスを専門としている企業です。3つのプロダクトを提供していますが、まずその全ての核となっているのが「Profile Passport SDK」です。お客様のアプリに「Profile Passport SDK」を組み込んでいただくと、アプリをダウンロードしたユーザーの位置情報を定期的に取得することが可能です。導入いただいたアプリが100以上あるのですが、この位置情報は私たちのDMPにも貯めています。
― どのくらいのユーザーの位置情報が貯められているのですか?
山田 月間2,000万ユーザーです。国内に流通するスマホの台数は9,000万台と言われていますが、私たちは国内最大規模だと思います。この2,000万台から取得する月間70億レコードものデータをマーケティングに活用するために提供しているのが2つ目の「Profile Passport DMP」です。もちろん、このDMPは「TREASURE CDP」を利用しているものです。
― どのように活用するのですか?
山田 例えば、あるショップが特定の店舗をエリアに指定したとします。すると、モニタリングによりその店舗の入店率がわかるんです。本当に競合なのか、競合だと思っていただけなのかを数字で理解することができます。その他にも交通広告の効果測定を行っている事例もあります。
― 3つ目のプロダクトは?
山田 「Profile Passport AD」という位置情報に基づいた広告サービスです。例えば、「全国の大学」をエリアに指定し、属性として「大学生」を掛け合わせた配信も可能です。また、広告の集客効果を計る「来店計測」にもご利用いただいています。是非、日本全国をカバーする位置情報を活用して、ビジネスに役立てて欲しいですね。
導入シェアNO.1のDMPが連携したかった「理由」は?
近藤 嘉恒(こんどう よしつね)
株式会社ブレインパッド マーケティングプラットフォーム本部 副本部長。1978年生まれ。法政大学卒。株式会社オービックなどでの勤務を経て、2016年ブレインパッドへ参画。
「アクション型DMP」の「長所」と「短所」
― 最後のパートナー企業は株式会社ブレインパッドです。近藤さん、プロダクトの紹介をお願いします。
近藤 私たちは「Rtoaster」というアクション型のプライベートDMPを提供しています。この「Rtoaster」はリリースしてから11年になり、業界でも非常に歴史のあるサービスです
― 「アクション型」とは?
近藤 「Rtoaster」は、DMPの中でもコンテンツのレコメンドに加え、ウェブ接客やメールやデジタル広告などのあらゆるチャネルに対応しています。つまり、「データドリブンで多彩なマーケティングアクション」を実行することに長けているサービスです。「トレジャーデータとは競合でしょ?」とよく聞かれるのですが、あらゆるデータの「蓄積・統合・分析」を担うプラットフォームとして展開している「TREASURE CDP」とは、実は得意にする領域が全く異なるのです。
― もう少し詳しく教えてください。
近藤 「Rtoaster」の大きな特徴は、パーソナライズのアルゴリズム・手法を包括している点です。商品の自動レコメンドだけではなく、設計したルールでの出し分け、さらには自然言語処理技術を駆使した手法をすべてひとつのサービスで行うことができるんです。さらに、その手法を「ウェブサイト」のバナーだけではなく「ポップアップ」「アプリ内のレコメンド・プッシュ」などに「Rtoaster」だけで対応できるのも強みですね。
― まさしく「データを使ったマーケティングアクション」の部分ですね。
近藤 ただ、実施したい施策のバリエーションが増えれば増えるほど、非構造データのログも膨大となりますよね。ですから、私たちは様々な種類のデータを「アクションに使えるデータ」として整理・格納する「データレイク」との連携を求めていました。
― そこでトレジャーデータと連携したわけですね?
近藤 そうですね。「TREASURE CDP」はあらゆる種類のデータを格納できる拡張性の高さが特徴です。実績だけではなくクライアントからの信頼も厚いのが魅力ですね。一方、技術的要素が強い事もあり、「マーケターが施策を実行するために簡単に使いこなす」のは難しい側面があると感じていました。
― お互いにメリットがある連携といえそうですね。
近藤 マーケティングのパーソナライズを推進するうえで、この連携はまさしく「相互補完」だと捉えていますし、私たちはお互いにとって本当に最高のパートナーだと思いますね。マーケターの方々には、「TREASURE CDP」でデータを徹底的に貯めてもらい、「Rtoaster」を使ってどんどん施策を実践して欲しいですね。