医療機器は生体への安全性が第一に求められます。
これまでは強度や耐久性、柔らかさといった、素材が持つ機械的特性に重きが置かれ、開発が進められてきました。一方で、医療機器と生体との接触部位で様々な問題-炎症反応や免疫反応、血栓生成-が発生することを受け、医療機器を生体に優しいものとする表面改質コーティングへの認識が深まりつつあります。

インテリジェント・サーフェスでは、生体組織と同様の構造を持つ「MPCポリマー(MPCoat®)」の分子構造を制御し、様々な素材表面に固定して、生体が持つ固有性質と同等の機能を発揮させる技術を保有しています。本技術を医療機器に適用すると、生体と人工的な素材との間の隔たりがなくなり、生体に優しい医療機器に生まれ変わります。この素材技術により、医療機器を使用する患者や医療従事者に、高い安心と安全を届けます。

近未来では、生体に埋め込む各種センサーが増え、体内で長い期間、正しく機能するには、センサーが異物とみなされない必要があります。そのような世界では、MPCoat®が活躍する場面も増えるでしょう。MPCoat®を用いた医療機器により、ヒトがアップデートする世界もやってきそうです。

代表取締役CEO / CTO 切通 義弘

事業概要

企業名 インテリジェント・サーフェス株式会社
代表者名 切通 義弘
設立年月 2016年5月
事業概要 生体親和性やタンパク質非吸着性、血液適合性、超親水性、防曇性、潤滑性、セルフクリーニング機能などのユニークな特性を持つ「MPCoat®」を、様々な基材に適合するようカスタマイズして合成する技術、独自の前処理方法やコーティング技術を駆使して、人工的な素材表面を「自然で機能的な表面」に改質します。

御社のチームの強みはどこですか?

インテリジェント・サーフェス代表の切通は、コア技術「MPCoat®」に関する学術的な知見、ノウハウを多数保有しております。一方、従業員はベンチャーに対する先入観、偏見を持たない固有の性格、そして特殊能力を持つ発想力旺盛なメンバーによって構成されています。切通を中心に医療機器やMPCoat®の情報共有を進め、自由な環境で自由な発想の下、医療機器における課題解決の糸口となる技術を次々と生み出しています。
一方、ベンチャーとして確実な収益が見込まれるまでの長い時間も、管理本部が数字の隅々まで目を光らせ、資金繰りを安定させているため、研究開発本部も安心して研究開発に取り組めております。

御社で一番大切にしている価値観はなんですか?

山椒は小粒でもぴりりと辛い。
企業体として小さい組織ながらも、大手企業と対等に渡り合える高度技術群を保有する少数精鋭として、またベンチャーとしての軽快なフットワークを生かして大手企業をリードし、決して妥協せず、安売りはしません。

10年後、市場はどうなっていると思いますか?

従来の親水性コーティング剤に代わり、バイオミメティック材料をベースとした医療機器向けコーティング剤が普及。MPCoat®は、バイオミメティックコーティングの代名詞として捉えられ、医療機器分野における標準コーティング剤となっているでしょう。それまで輸入超過であった医療機器は、MPCoat®を用いた日本製製品が治療分野で注目され、市場の活性化を促し、世界市場にも進出します。また、一般産業製品にも汎用グレードMPCoat®が用いられるようになり、防汚性、抗菌性が付与された製品が身近に多数存在し、各メンテナンスの時間を大幅に削減する省エネルギーコーティング剤として応用開発も進んでいると思います。